夢と青春の花園
理事長 澤野 桂子
高校3年間は飛躍する青春の時間であり、人間形成の土台を築く貴重な時間です。また、将来の進路を決める重要な時期でもあります。この大切な時期の教育を担う者として果たすべき責任の重さを痛感いたします。しかし、それにもまして、いきいきと瞳を輝かせた生徒に接する喜びは何にも代えがたいものです。そして、この喜びこそが私たちの励みでもあります。
本校は、創立者、三田俊次郎(岩手医科大学創立者)の建学の精神「誠の人間の育成」を教育の柱に、日々新しい女子教育を求め続けています。伝統を縦糸に、時代の要請にこたえる適応力を横糸に、確かな地歩を重ねています。世界的視野の求められている今、世界に通用する感覚と能力の基礎づくりのため、生徒と教師の心からのふれあいによる感動の教育をめざし、知性教育と情操教育の調和を大切にしています。私たちはやわらかな感性と確かな判断力を養い、心身共に健全な、人間的魅力にあふれる女性たちを育てたいと願っています。真の人間教育を掲げ、推進していくことの困難はなみなみではありません。このようなときに、私にとって最も心強いことは、女子教育に熱意と誠意で取り組む教師陣に恵まれたことです。一人の力に限界はあっても、情熱を持ったリレーションシップは、大きな力を発揮するものです。この力によって、よりよい教育の軌跡を描いていけると確信しております。
夢と希望に満ちた人生で最も輝かしい高校時代、友と語り、友情を培うにふさわしい高校時代。本校で過ごされる学園生活が実り多いことを願っています。
夢を語り、夢を聴く
校長 浅見 剛文
私はこれまでの教員生活の中で、やりたいことをなかなか見つけられずにいる生徒たちをたくさん見てきました。もしかしたら、他人との比較や周囲の評価を気にし過ぎて、自分の夢をどんどん心の奥にしまい込んでしまったのかなと思うこともあります。確かに現代は多様性を認めながらも、良くも悪くも他人と比較しがちな社会をつくりだしています。しかし、自分の能力や置かれた環境のマイナス面だけをクローズアップしがちになり、「どうせ私は」と夢を追うことさえやめてしまっては自分がかわいそうです。また、「私には能力がない」と決めつけては、どんなことにも挑戦できなくなってしまいます。そして、自分に何も期待しないような考え方になる恐れもあります。それでは失敗や失望は減るかもしれませんが、成長も望めません。
他人との比較は自分を磨くための砥石でもありますが、同時に自分の心をすり減らすやすりにもなり得ます。もしも比べるなら他人より以前の自分の方がいい。そして、少しでも前の自分より頑張ったなら、自分をほめてあげてください。周囲の評価は気にせず、勉強に、友だち付き合いに、部活動に、行事にどんどん挑戦し、自分だけの「うれしい」や「楽しい」をたくさん経験してください。そこから「自分らしさ」を見つけ、大好きになってください。それは決して他人に評価されるものではなく、あなただけの大切な資質なのです。
夢に挑戦するのはすべての人に与えられた権利。そんな気持ちになれれば、友だちの夢だってきっと応援できるはず。自分の夢を素直に語り、友だちの夢を優しい気持ちで聴く。私はそんな生徒たちの姿を思い描いています。
もし、あなたが本校で自分の夢を見つけることができたなら、初代校長である三田てる先生の胸像にそっと報告してみてはどうでしょう。きっと先生は喜んでくださると思いますよ。
「先生、夢を見つけたよ」
「それはよかったですね。おめでとう。でも言葉遣いはもう少しお勉強してね」
そんなやり取りが聞こえてくるようです。
岩手女子高等学校は、これからもそんな厳しくもあたたかい学校でありたいと思っています。